ボツリヌス菌から抽出されるたんぱく質の一種を過度に緊張している筋肉に注射することで、一時的にその緊張をほぐします。歯ぎしり、食いしばり、顎関節症などの治療に使用します。
欧米では1970年代よりボトックスによる シワ、多汗症、 眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、斜視、顔面チック、片頭痛などの多くの疾患の治療に用いられています。
歯科領域では、歯ぎしりや食いしばりすぎて大きくなってしまったエラ(咬筋)にボツリヌストキシンを注射することで、食いしばりや歯ぎしりによる肩こりや首の痛み、肩や首の筋肉の課金長から起こる頭痛の症状緩和や軽減が見込めます。また、エラ(咬筋)の力が制限されるためエラがとれ小顔効果も期待できます。
※「ボトックス」とは
「ボトックス」はアラガン社のボツリヌス治療薬の商品名です。一般的に広く「ボトックス」という言葉が認知されているため、「ボトックス治療」、「ボトックス注射」と呼ばれています。
■ ボツリヌストキシンの安全性
ボツリヌストキシン注入治療は、日本では、1996年に眼瞼痙攣、2000年に片側顔面痙攣、2001年に痙性斜頚への効能が厚生労働省の承認を受けています。美容業界ではシワ取り、小顔治療、汗止め、痩身目的など一般的に用いられている治療法であり、美容目的では70カ国以上で使用されています。治療で使用するボツリヌスタンパクは完全無毒化されているので安全です。
■ ボツリヌス治療の対象、範囲
・顎関節症状の緩和(顎が鳴る、口が開きにくい、顎が痛い など)
・歯ぎしりによる歯の擦り減り抑制、軽減
・咬合圧(咬む力が強すぎる)による修復物(詰め物)、補綴物(被せ物)の脱離防止、リスク軽減
・咬合圧(咬む力が強すぎる)による歯、インプラントなどの破折防止、リスク軽減
・食いしばりの緩和
・食いしばりや歯ぎしりが一因の肩こり、首の痛み、頭痛の改善
・不正な噛み合わせや歯列不正が主な原因の肩こり、首の痛み、頭痛の改善
・ガミースマイル改善、口角挙上、小顔効果、ほうれい線改善、オトガイ(顎先)のうめぼしシワ改善
※歯科ではおでこのシワ取りや目元の小じわ取りなどはできません。
■ 治療効果の持続時間
永久的な効果はありません。おおむね3ヶ月~6ヶ月です。症状のひどい方は効果が短いとお考えください。
■ 治療時間
エラ(咬筋)のみの場合、両側で15分程度(皮膚の表面に軟膏の麻酔を塗る場合は30~40分程度)
■ ダウンタイム
治療後すぐに日常生活に戻れます。
■ 副作用
もっともよく見られる副作用は注射部位に重たい感じが数日残ることがあります。また、筋肉弱化や治療部位の腫ることがありますが、術後6週以内に徐々に消えはじめます。
■ 費用
保険適用外
100単位(一アンプル)¥30,000+消費税~
治療部位1部位(左右一対の部位)につき ¥5,000+消費税~
(例1)
咬筋のボツリヌス治療の場合
1アンプル+咬筋1部位(左右一対)
¥30,000+¥5,000+消費税=¥35,000+消費税~
(例2)
咬筋+オトガイ(顎先)のうめぼしシワの場合
1アンプル+咬筋+オトガイ(顎先)
¥30,000+¥5,000+¥5,000=¥40,000+消費税~
■ 注意点
ボツリヌス治療は薬の効果による一時的な症状緩和です。
ボツリヌス治療で筋肉に力がある程度弱まることで症状の緩和、改善を期待する対症治療です。
一度の治療によって永久的な効果を期待する治療法ではありません。
また、不正な噛み合わせや歯列不正が原因であるならば噛み合わせ治療、歯列矯正は必要になります。